養育費Q&A

養育費の額はどのようにして計算されますか?

養育費の額は、原則として、裁判所のホームページに公開されている「養育費算定表」に基づいて計算されます。

まず、子どもの人数と年齢に従って、使用する「表」を選びます。

たとえば、子どもが1人で、年齢が12歳の場合、「表1」を使用することになります。

使用する「表」の「権利者の年収」(=請求する側の年収)と「義務者の年収」(=請求される側の年収)とがクロスする部分の金額が原則的な養育費の月額になります。

給与所得者(サラリーマン)の場合と自営業の場合で、使用する金額が異なりますので注意が必要です。

年収の額は、給与所得者の場合は、源泉徴収票の「支払金額」の金額や、課税証明書の「給与収入」の金額を用います。自営業の場合は、確定申告書の「課税される所得金額」を用います。

なお、「養育費算定表」の使い方がよくわからないという方は、弊所が監修した「養育費の自動計算機」を使うことで養育費の目安を確認することができます。

養育費の目安を簡単に知る方法はありますか?

弊所では「養育費の自動計算機」を監修しております。

養育費の目安を知りたい方はご活用ください。

児童手当や児童扶養手当は、養育費を計算する際の「収入」に含まれますか?

児童手当や児童扶養手当は、児童の福祉のために支給されるものであって、原則として、養育費を計算する際の「収入」には含まれないと考えられています。

相手方の収入が不明の場合、養育費の額はどのようにして計算されますか?

相手方が自分の収入を明らかにせず、収入が不明の場合があります。

このような場合、裁判所に調査嘱託を申し立てる対応が考えられます。

調査嘱託とは、裁判所が市区町村や相手方の勤務先に対して、必要な事項の報告を求める手続です。

調査嘱託を申し立てることによって、相手方の収入に関する資料を取り寄せることができる場合があります。

ただし、調査嘱託を申し立てても、守秘義務などを理由に回答を拒絶される場合もあります。

そのような場合には、賃金センサス(賃金構造基本統計調査)などを使って相手方の収入を推定して計算することになります。

賃金センサスとは、厚生労働省が労働者の賃金の実態を調査し取りまとめたものです。

私立学校の学費等は養育費の計算で考慮されますか?

養育費の額は、原則として、「養育費算定表」に基づいて計算されます。

養育費算定表」に基づいて計算した養育費の金額では、公立高校の学費等は考慮されていますが、私立学校の学費等は考慮されていません。

養育費の計算にあたって、私立学校の学費等を考慮することができるのは、原則として、相手方が私立学校への進学を承諾していた場合です。

明確な承諾がなかった場合でも、たとえば、子どもが私立学校に進学するための塾へ通うことを承諾していた場合などには「承諾」が認められる可能性があります。

養育費の支払義務はいつから発生しますか?

養育費の支払義務は、原則として、養育費の請求をした月からとなります。

したがって、養育費を請求せずに放置していると、受け取れる養育費の額が減っていってしまいます。

養育費を受け取る側は、相手方に内容証明郵便を送付したり、養育費請求調停を申し立てたりして、速やかに養育費の請求をするのがよいでしょう。

なお、口頭での請求は証拠が残りませんので望ましくありません。

養育費は何歳まで受け取ることができますか?

養育費は、子どもが「未成熟子」である間受け取ることができます。

子どもが「未成熟子」でなくなるのは、原則として、20歳であると考えられています。

ただし、20歳未満の子どもであっても、就職するなどして自立して生活しているような場合には、「未成熟子」ではありません。

また、両親の学歴などを考慮して、子どもが大学を卒業するタイミングである22歳の最初の3月まで「未成熟子」と認められるケースもあります。

養育費を請求しないという取り決めをしてしまった場合、一切請求できませんか?

養育費を請求しないという取り決めをした場合であっても、一定の場合には請求が認められるケースがあります。

ただし、ハードルは高く簡単には認められないと思っておいた方がよいでしょう。

養育費は子ども健全な成長ののために重要なものですので、養育費を請求しない取り決めを安易にするようなことはせず、慎重に検討することが必要といえます。

養育費を一括払いとする取り決めをすることは可能ですか?

養育費は毎月定期的に支払う取り決めをするのが一般的ですが、将来分も含めて一括払いとすることも可能です。

ただし、一括払いとすると、受け取った側が浪費してしまう危険性があります。

また、場合によっては、贈与税の課税対象となる可能性もあります。

一括払いの取り決めをするかは、慎重に検討すべきでしょう。

相手方の不貞行為(不倫)によって離婚した場合でも養育費の支払義務はありますか?

養育費は子どものために支払うものですので、相手方の不貞行為(不倫)が原因で離婚に至ったような場合でも支払いをしなければなりません。

離婚相手の連れ子に対して養育費を支払う義務はありますか?

連れ子と養子縁組をしていない場合には、養育費を支払う義務はありません。

養子縁組とは、養子縁組をした者の間に法律上の親子関係を発生させる手続のことです。

離婚相手の連れ子と養子縁組をしていない場合には、その連れ子との間に法律上の親子関係はありませんので、養育費を支払う義務はありません。

一方、養子縁組をしている場合には、その連れ子との間に法律上の親子関係がありますので、養育費を支払う義務があります。

養子縁組を解消するためには、「離縁」の手続をとる必要があります。

養育費の請求には時効がありますか?

養育費の請求にも時効があります。

したがって、放っておくと時効によって請求ができなくなるおそれがあります。

時効の期間は、基本的には5年ですが、ケースによって異なる可能性があるため、弁護士に相談するのがよいでしょう。

相手方から子どもとの面会交流を拒否されている場合でも養育費の支払義務はありますか?

面会交流とは、子どもと別居することになった親が、子どもと直接面会したり、手紙やメール等のやり取りをしたりして交流することをいいます。

面会交流と養育費とは別の制度ですので、面会交流を拒否されている場合でも養育費は支払う必要があります。

このような場合には、養育費の支払を拒否するのではなく、面会交流を実現するための法的措置を検討するべきです。

どのような場合に養育費の増額が認められますか?

養育費の増額が認められるためには、一度取り決めた養育費の増額を正当化できるような「事情変更」が必要となります。

たとえば、次のような場合には、「事情変更」が認められる可能性があります。

ただし、上記の場合であれば、必ず養育費の増額が認められるというわけではなく、ケースバイケースで判断されます。

どのような場合に養育費の減額が認められますか?

養育費の減額が認められるためには、一度取り決めた養育費の減額を正当化できるような「事情変更」が必要となります。

たとえば、次のような場合には、「事情変更」が認められる可能性があります。

ただし、上記の場合であれば、必ず養育費の減額が認められるというわけではなく、ケースバイケースで判断されます。

養育費を請求する側が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をしました。このような場合でも養育費を支払わなければなりませんか?

養育費を請求する側が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした場合、第一的には、再婚相手がその子どもの扶養をすべきと考えられます。

したがって、このようなケースでは、実親の養育費支払義務はなくなるのが原則です。

養育費の支払は扶養控除の対象となりますか?

一定の場合には、養育費の支払者も扶養控除を受けることができます。